大倉 史帆里
女子硬式野球にかけた青春と縁
大倉 史帆里(おおくら しほり)さん
1996年山口県光市に生まれた、野球好きのお父さんと美容師さんのお母さん、弟とおばあちゃんの5人家族。 野球を始めたのは、小学2年生。 野球好きのお父さんの影響のようだ。
小学校には、女子硬式野球部やクラブチームはない。 当然、男子に交じっての野球だった。 きっと、身体能力が高かったのでしょうね。ずっと、野球を続けた。
中学生になると、女子硬式野球のクラブチームに参加する。 山口きらら防府ベースボールクラブ、ここに中学生から社会人の野球好きの女子が集まるチームがあった。 人数は少なかったが、毎週土日は車で1時間かけ親に送ってもらい、練習に打ち込んだ。 エースで4番、チームリーダーだった。 野球に邁進する中学生。次第に高校の女子硬式野球部に憧れを持ち始めた。 このクラブチーム、現在は人数が集まらず休部になったそうだ。
全国的にも、女子硬式野球部はすくない。 今年行われた全国大会では32チームが出場したが、 大倉さんが中学生のとき高校では全国で約10チームだったそうだ。 高校進学にあたって、選んだのは鹿児島県、そう九州です。神村学園。 地元を離れ寮生活。自分のことは自分でする。親のありがたみを感じた3年間だったそうだ。
大学は、女子野球部があるのは8校だそうだ。 進学にあたって、教師になりたいとの思いもあり、日体大も考えたが、やはり野球を選んだ。 埼玉平成国際大学に進学し、野球に邁進する。 ずっとピッチャー。大学3年生のときには女子野球日本代表のトライアウトを受け最終選考まで残った。
肘や肩を壊したことないのですか。聞いてみた。 それはないですが、腰、半月板損傷では手術をしたそうだ。
卒業後の進路については、エースの能力、副キャプテン。 当然、社会人チーム、クラブチームのプレイヤーの道も続いていく。 また、教師になりたかったというだけに、指導者の道も考えていた。
島根県立島根中央高等学校
邑智郡川本町にある島根中央高校、在校生は242名、そのうち県外町外からの在校生が75人、北海道から福岡まで全国からやってきている。 皆さん寮生活、川本の自然あふれる田舎でのびのび生活していることだろう。
島根中央高校は、川本高校と邑智高校が併合されて、平成19年4月発足した。
そして、平成31年4月女子硬式野球部発足となった。
もともと、女子生徒が少なかったこと、県内外からの生徒募集にあたり、いろいろ検討の結果、全国的にも少なく、島根県にはなかった、公立高校女子硬式野球部ということになったという。
特色ある部活として、カヌー部がある。カヤックの大会で多くの成績を残している。 また、男子野球部も強豪チームとして活躍してる。
今年度、女子生徒の人数は増加し、およそ男女半々となり、今までなかった、女子寮が来年3月オープンすることになっている。
女子硬式野球部監督
大倉さんが、島根中央高校へ監督就任面接に行ったのは、昨年10月のこと。 大学の監督からこんな募集があると紹介され、早速川本へやってきた。 面談の結果、早速の内定。
その年の10月、オープンスクールや女子中学生の大会があったこともあり、埼玉から3回通ったという。 島根中央高校の学校の様子、川本町の様子、地域の人たちのこと。 いろいろ感じて、自分に合っていると思いましたと話した。
島根中央高校で初めてお会いした大倉さん23才、ジャージ姿は高校生と間違えそう。 日焼けした肌はピカピカ、身長163センチ、さすがに野球で鍛えた体は見事に筋肉が美しいです。 初めて電話で話したときは少し暗い印象を受けましたが、お会いしてみると物静かですがきちんと物事を考える、几帳面な人です。 笑った笑顔はかわいくほんとに学生さんのまんま。
選択肢として希望だった指導者への道、歩き始めたばかり。 部員は11名、全員1年生 全員寮生活。島根県内6人、山口県4人、広島県1名。
現在、女子硬式野球部の女性監督は全国に8名。 ほんとに少ないのだ。 大倉さんと島根中央高校には縁があったのですね。おもわず口にしていました。
大倉さんに運があり、縁があり、つかみ取る勇気があったのだと思った。 大学の野球部のメンバーの進路は、社会人チーム、クラブチーム、普通に就職と様々いるが、指導者となったのは、大倉さん一人、オンリーワンです。
女性監督としての苦労は有りますか。 7才しか違わないので、みんな気楽に話しかけてくれるのはうれしいこと、しかし監督としてなれ合わないように気を付けている。
ほんとに、いろいろな相談事があって、対応に苦労しています。
大倉さん自身、ずっと男性監督に指導を受け、気楽に話すなど経験のないことだったのです。
部員が11名と少ないので、練習試合は相手が少なくて大変なようだ。9月15日は広島へ練習試合に行くとのこと。 男子野球部と練習試合をしたことはありますが、当然相手になりませんね。
毎日放課後4時から7時ごろまで練習、走り込み、キャッチボール、ノックなどが主な練習になっている。 来年度は、10名くらいは入ってくる予定なので、紅白戦ができるようになります。 やはり、試合経験が必要ですからと話した。
男子高校野球部は、甲子園が目標ですよね。 女子高校野球は、全国で32チーム。よって、みんな全国大会出場です。 女子高校野球全国大会、夏は兵庫県丹波市、春は埼玉県加須市で毎年開催される。
県内初の女子硬式野球部監督、勤務は午後1時から練習が終わる7時ごろまで、お休みは火曜日。川本町から地域指導員、島根県から部活動指導員の契約をし、監督として活動している。 お休みは何を? ドライブが好きなので、ふらっと出かけるようです。 一人暮らし、川本でも友達はできましたが、今はSNSで全国の友達とつながっているので、いいですよ。
女子硬式野球部
放課後4時から練習なので、見学させてもらった。 学校の校庭は、男子野球部が練習を始めた。 女子野球部は、道具を大倉監督の車に積んで、部員は自転車で川本町の野球場へ行く。
部員が集まってきた。 みんな、小さいころから野球をやってきただけあって、足腰の筋肉が素晴らしい。 今どきの女子高生、大きな声であいさつ、なかなかお目にかかれませんが、見事に元気いっぱいあいさつしてくれる。
ラインを引いて準備ができたとこ ろ、突然の雷雨。 ゴロゴロという雷鳴に皆さん待機。 といっても、にぎやかです。 歌、何とかダンス、笑い声。やはり女子高生ですね。
しばらく待機しましたが、かなりの降り方、やがてやみかけましたが、グラウンドは使用できる状態ではなく、皆さん片づけて自転車で学校に帰っていった。 学校で練習のようだ。
ユニホーム姿で指示をしている大倉監督、女子高生と体形も見た目もあまり変わらないが、違いました。監督オーラ、とってもきちんとしていて、凛とした様子。 山口で生まれ、野球一筋の若者がつかみ取った縁ですね。
島根中央高校女子硬式野球部本格始動、これからの監督と部員の皆さんの活躍を期待し見守っていきたいものです。
(2019年9月 取材)
島根中央高校という校名通りぶ島根の中央に位置し、両校の伝統を継承しながら、まちごとキャンパス学習やふるさと学、世界遺産石見銀山遺跡保全活動など、地域と連携した活動を行い、学力はもとより総合的な人間力を育成する教育活動を行っています。そのような実績から、平成24年にはユネスコスクールに認定されています。あわせて「しまね留学」事業を通じて全国各地から多くの生徒が入学し、県内や地域の出身生徒と切磋琢磨しながら共に成長しています。今では、地理的に島根の中央であるだけでなく、島根県が目指す「地域と共に成長する高校」として、島根県教育の中心的存在となっています。
所在地: | 〒696-0001 島根県邑智郡川本町大字川本222 |
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TEL: | 0855-72-0355 |
URL: | https://www.shimane-chuo.ed.jp/ |