株式会社コミュニティケア 代表取締役 看護師

中澤 ちひろさん

株式会社コミュニティ ケア 代表取締役看護師
中澤 ちひろ

訪問看護ステーション コミケア

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雲南市三刀屋町にある、コミケアを訪ねた。三刀屋町のメインストリートのちょうど真ん中あたりに、コミケアはある。
ここは、元々本屋さんだった商店街の空き家を改装し、「世代間交流施設 ほほ笑み」が開設されていた。部屋の壁は本棚、めったやたらといろんなジャンルの本が並んでいる。元本屋さん、1冊100円のポップにニッコリしてしまった。
今は、訪問看護ステーション、三刀屋まちづくり協議会、障がい者支援団体の3者で共同利用している。

コミュニテイーセンターと聞いていたので、所長はにこにこ笑っているオジサンが出てくるものと想像していたら、なんと20代半ばにみえる若いお嬢さんの登場にちょっとびっくりした。

コミケアは訪問看護ステーションで、職員さんは看護師・保健師・理学療法師など、専門職の人たちだ。
雲南市は、合併後縦に細長い町、高齢化の激しい島根の典型的な中山間地。
雲南市は病院に通うのも困難な地区が多い。
市でも三刀屋・掛合地区に訪問看護ステーションを立ち上げようと計画していた。
雲南市には、NPO法人おっちラボという組織があり、幸運南塾という地域のローカルチャレンジャーを生み出す仕組みがあり、次世代の若者やよそ者にチャレンジのチャンスがたくさんあった。

そして、訪問看護ステーション コミケアは2016年3月29日開設された。
代表は 中澤ちひろさん。
1986年生まれ、神奈川県出身。

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開設には様々な人たちの協力があり、現場は看護師3名が担った。
訪問看護というと、病院を退職したベテラン看護師さんのお仕事というイメージがあるが、コミケアは20代・30代の若手12人で運営している。
立ち上げ当初は、若者・よそ者、受け入れてもらえるか心配はあったようだ。

開設して5年、今ではひと月500件以上の訪問をこなしている。
赤ちゃんから100歳まで、地域も人も幅広い。

中山間地の社会的課題は多い。
老々介護・高齢者の一人暮らし・お隣が遠い・若者の流出・人材不足などだ。
年を重ねても住み慣れた場所で暮らしたい、そんな当たり前の願いが実現できにくい環境がある。
そんな願いを、できるだけ長く自立した生活のお手伝いが、訪問看護ステーションの大きな役割なのだ。

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訪問看護の様子

代表取締役 看護師 中澤ちひろさん

神奈川県相模原市出身、1986年生まれ。
HPでは歌田ちひろとあるが、掛合の男性と結婚し3歳と1歳の子育て中のママさん。

看護師を目指したのは、リュウマチを患っていたおばさんのお見舞いに行ったときの事、おばさんは見舞いに来た自分に「こんな状態になってみんなに迷惑かけてごめんね」と言われたことにショックを受けた。一番つらいのはおばさんなのに、自分自身の存在を申し訳ないと思っている。。

マザーテレサの「愛」の言葉に目が覚めた。
どんな状態になっても、「わたしはここにいてもいい」と思える環境をつくりたいと看護師を目指す。

貧困・障がい者・地域医療や国際医療を目指し、大学も探した。
神奈川県の中山間地域の病院に勤めた後、海外の高齢者福祉の現場も知りたいとオーストラリアの介護施設で1年弱働いた。帰国後は、働きながら研修を重ねた。帰国後は、日本の地域医療を勉強したいと思い、広島県庄原市で地域・国際医療研修を続ける。

その後、チャレンジの町・雲南市に、先輩の紹介でやってきた。

みんながかかわれる地域医療、みんなでまちづくり、訪問看護ステーションはオープンした。
開設当初はNPO法人おっちラボに席をおき、活動し、事業化の目途も立ち自立した運営をするために株式会社に法人化した。

代表の中澤さんは、気負うこともなく、とても楽しそうに話してくれる。
このお仕事が本当に楽しいんだろうなと思い、つらいことはないですかと聞いてみた。

『たまに、一日中寝ていたいと思うことはありますよ。
でも、楽しい方が多いですね。ポジティブなんです。
株式会社の代表なので、事業や運営については悩むこともあります。』

気分転換は絵が好きなのだそうだ。
なんでも新しいことにチャレンジしたいとアンテナを広げている。

『やはり、一番は 仲間 家族 ですね。』

余談であるが、地元の人たちは雲南市で結婚し子育て、地元に根を下ろしたことをとても喜んでくれた。
元々は、立ち上げて2年ほど働いたら、神奈川へ帰って地域医療にたずさわろうとかんがえていたらしい。
神奈川のご両親は日本にいるだけで、それも結婚するとは思ってもいなかったらしい。
これもご縁というもの。めでたし めでたし ですね。

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最後に

コミケアをどのように引っ張っていきたいのか聞いてみた。

『この地域には、隣近所がお互いに見守り助け合い声を掛け合うといういいところが残っています。
コミケアはそんな皆さんの交流の場として、心と体の健康を保つ場としてやっていきます。
病や障がいのある方も普通の方も、隔たれることなく一緒に地域の中で繋がりつづけることができる場をつくっていきます。
地域の皆さんの声を聞き、地域のニーズを拾い上げて、時代や地域にあったケアを地域住民のみなさんと作っていきたい。
これから先も、いつの時代もその地域の幸せを願います。』

34歳の若き代表中澤さん。
5年後・10年後、彼女がどんな活動をして、どんな素敵な女性になっているか楽しみです。

 

中澤 ちひろ
株式会社コミュニティ ケア

誰と、どこで、どのように過ごしていくか。きっと人それぞれ違うと思います。できるだけ長い時間、自律した生活が続けられるよう、暮らしの中の幸せな瞬間を大切に、私たちは看護サービスを提供していきます。

所在地 島根県雲南市三刀屋町三刀屋1065
電話 0854-47-7215
URL http://comcare.shimane.jp/
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